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議論相談板@秋田ring
下東北で取り残されつつある秋田!
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開校から8年、国際教養大が東大と肩を並べた秘密 PRESIDENT 2012年11月12日号 茂木 健一郎
2004年に秋田県秋田市に開学した国際教養大学。1学年の定員が170名あまりと小さな大学だが、英語に基づく高度なリベラル・アーツ教育、卒業生の就職実績の良さで近年脚光を浴びている。入試制度が異なるので単純には比較できないが、難易度も急上昇。センター試験の成績で見れば、すでに東京大学文系と同じ程度の高得点が必要とされるという。学長の中嶋嶺雄氏に、開学当時お話をうかがう機会があった。「これから、日本に、アメリカと同じような、一流のリベラル・アーツ・カレッジをつくるんです!」と意気込んでいらした中嶋先生。短期間のうちに、お言葉通りの質の高い大学になりつつある。秋田空港から自動車で10分ほど走ると、もう国際教養大学のキャンパスだった。アメリカの大学と同様、街と大学を仕切る境界のようなものはなくて、道を行くといつの間にか大学に入っている。英語の書籍を中心に6万8000冊の蔵書がある「24時間眠らない図書館」(写真提供=国際教養大学)秋田らしく、豊富な木材を活かした建物が並ぶキャンパスは清々しかった。緑の中を、教科書を持った学生たちが行き交っている。1年365日、24時間開いているという図書館は広々として格調があり、見学した小学生たちが、「ハリー・ポッターみたいだ」と歓声を上げるのだそうだ。大学側のご好意で、いくつか講義を見学させていただいた。アメリカ憲法の授業の先生は日本人。20名程度の少人数で、活発に議論しながら「表現の自由」について考える。帰国子女らしい、流暢な英語でしゃべる人もいたが、日本で英語を学んだ、それでも英語が達者な学生も、自分の意見を述べていた。続いて、外国からの留学生に特に人気だという、英国人講師による日本の伝統文化についての授業。人数は10名ほど。教壇の周りに集まって和気あいあいと、しかし真剣に話し合っている。男鹿半島に伝わる「なまはげ」は社会的に見てどのような意義があるかユーモアを交えて論じる授業に、笑い声が上がっていた。
国際教養大学の成功の秘密の一端は、クラス・サイズにあると知った。日本の多くの大学は、大教室で教師がマイクでしゃべる形式の授業を採用している。それでは、現代社会を生きるうえで必要な批判的思考(クリティカル・シンキング)が身につかない。カフェテリアで勉強していた日本人の学生と話した。「授業で、英語が得意な学生ばかり発言してしまう、ということはないの?」と聞くと、彼は、「いいえ。少し英語の表現が拙くても先生が、君の言いたいことはこうだろうと補ってくれるので、みんな議論に参加しています」と言う。批判的思考力は英語力と等価ではない。小さなクラス・サイズで、徹底的に、真剣に議論することが大切。国際教養大学のあり方は、日本の大学の改革の方向性にヒントを与えてくれる。見学が終わった後で、中嶋学長にお目にかかることができた。「おめでとうございます! やりましたね!」。握手を交わす中嶋学長の顔が、輝いている。
秋田の田園風景の中で始まった、小さな教育改革。グローバル化の波が押し寄せる中、日本の大学のあり方が、現状のままでいいと思っている人は少ないだろう。
これからの日本人の学びのかたちに関心がある方は、国際教養大学を訪問してみればよい。課題の認識とともに、大いなる希望もわき上がってくるだろう。
中嶋嶺雄学長がいなければ今の国際教養大学は無い。 心からご冥福を祈る。
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